ピラミッドフィルムは、3つのグループで構成されている。主として映像制作を担うピラミッドフィルム、インタラクティブに特化したピラミッドフィルムクアドラ、そして、最新のスタジオ機能を備えたピースリーだ。
密な協力関係をつくることで、グループとしてのシナジーを発揮し、独自のクリエイティブ力を発揮している。
この3社から選ばれた計8人が、月に一度“会社の将来のこと”を真剣に話しあう「ピラ会」という組織がある。現場で働く社員たちの意見や課題を吸い上げて、改善方法を模索したり、グループ会社との交流会を企画したりと、その活動は多岐に渡る。
今回は8人の「ピラ会」メンバーに、そもそもなんで結成されたのか? 何をしているのか? 今後の目標は? など、その実態について話を聞いた。
有田豊広(以降:有田)結成したのは2017年だったかな。世の中の変化に伴って、ピラミッドフィルムグループとしても、社内制度とか新人育成とかをアップデートしていかないといけない。そのために、グループ内の8人が月に1回集まって、会社の将来のことを考えるのが、「ピラ会」の主旨だよね。
梅岡里衣(以降:梅岡)そうですね。初め多少のメンバー入れ替えはありましたけど近年はこの8名で。
有田ピラミッドフィルムとクアドラとピースリー。ピラミッドフィルムグループっていう共通点はあるものの、それぞれ会社もポジションも考え方も違う8人が、真面目に会社のことを月に一度話し合う会。今後会社がどのように生き残っていくのか、どのようないい会社にしていくのか、いい人材に入社してもらうにはどうしたらいいのか、会社の価値を高めるにはどうしたらいいのか、とか。そういうことを考えて、社長や幹部に直接意見を伝えるのが、僕らの役目だと思ってます。
松本直也(以降:松本)僕が入ったきっかけは声をかけてもらったからなんですが、それまで「ピラ会」の存在は知っていたけど、グループ会社も入れるのは知らなくて。
下田一蔵(以降:下田)最初はこういう会が開かれてることを公にしない、みたいな雰囲気がありましたよね。名前も決まってなかったですし。
清矢陽子(以降:清矢)そうですね。秘密結社みたいな。
前原真由美(以降:前原)名前もみんなで決めたんですよね。
吉田有希(以降・吉田)そう、みんなで候補を出して、清矢さんの案が採用されました。今でこそこうやってホームページで取り上げてもらったけど、当時は社内でも全く知られてなかったし、社員のなかには勝手に会社のことを話して、イベントを開催してお金を使ったり、社長に異議申し立てをしたりと、「ピラ会」に不信感を持ってる人もいたけど、少しずつ周知されてきた気がします。
河野将太(以降:河野)4年間の活動のおかげで、だんだん謎の組織ではなくなってきたかな(笑)。
松本僕が初めて参加したときは、会社に対して熱い思いがある人たちが集まってるなって思いました。
河野まずは、年間のスケジュールを決めるためにみんなでアイデアを出し合うところからはじまります。
前原今年は年間目標も立てたので、それに沿ってどこまで目標を実現できるのか、楽しみですね。
河野議題は、前回の「ピラ会」の内容を受けた議題にすることもあれば、全く関係ない議題のときもありますよね。
有田そうそう。3社共通の議題だったり、各会社だけの議題など会によってさまざま。
前原ざっくばらんに話せる会なので、「クアドラだけの話だから遠慮したほうがいいのかな」とかも気にせずに話せるのがいいなと思ってます。議題がズレていたら、みなさんが意見を言って、軌道修正もしてくれるので。
有田清矢さんは「ピラ会」が始まった頃に比べると、自発的に会社のことをいろいろ考えてくれるようになった気がするけど……、どう?
清矢最初は、なんで私が呼ばれたんだろうって思ってました。ピラミッドフィルムはよくも悪くも個人主義なところも少しあって、とくに企画演出部は自分がディレクターとして売れるにはどうしたらいいのかに意識がいくんです。でも、「ピラ会」のみなさんがちゃんと会社のことを考えていることを知って、私も前より会社のことを考えるようになりました。
梅岡私も清矢さんが言ったように、そんなに会社のことを真剣に考えてなかったな……。けど、どうしたら若い子がピラミッドフィルムを辞めずに続けてくれるんだろうとは思っていて、制作部としてケアすべきだけど、どうしたらいいのかわからないし、自分ひとりじゃ何もできなくて。
吉田「ピラ会」でもそのこと話し合ったね。
梅岡そうそう、みなさんの意見を聞いて、会社を俯瞰して見ることの必要性だったり、人の考え方を変えるためにはまずは自分が発言すべきだなってことに気付いて。実際に会社をやめる人も減ったし、「ピラ会」が力になってるような気がしてます。
清矢クアドラ、ピースリーもそうだけど、いつも関わらない部署の人の考え方を聞けるのは、私にとって大きい変化でした。今まで他の部署のことを全然知らなかったんだって気づいて、声をかけたりご飯に行ったり、積極的に交流するようになりました。
河野僕もそう。映像業界でしか仕事をしたことがないし、直属の上司の考え方を聞くことが多かったから、広告っていう共通言語はありつつ、人事のこととか僕が知らないことも知っているクアドラとピースリーの客観的な意見が聞けて視野が広がった。
下田ピースリーの僕からしたら、ピラミッドフィルムは会社も別だし、普段一緒にいないから、“お客さん”のイメージだったんですよね。仕事上、ピラミッドフィルムとピースリーはお金のやりとりがあるから、腹を割って話せないところもあるじゃないですか?
有田ありますね(笑)。
下田それが「ピラ会」に入ってからは、自分が言うのもおこがましいけど、仲間というか、協力できる関係性になってきたと思っています。気軽に、「有田さんに機材のこと聞いてみよう」と言える関係性やつながりができたし、仕事にも役に立っています。最近は、「ピラ会」のなかで“協力関係”という言葉もよく出るので、いい傾向にあるなと感じています。
前原そうですね。現場の声だけで、課題を改善したり、組織体制を変えるのは、なかなかできることじゃなくて、ましてやクアドラだけの意見じゃ力が足りない。でも、ピラミッド、ピースリー、クアドラの3社が揃うことで現場の声が通りやすくなったと実感できたので、それは大きい成果だなと思います。
下田ピースリーは、これまで社内事情とかをあまりオープンにしてこなかったけど、こうやって3社が協力すれば解決する問題があるんだと、「ピラ会」で気づかされたな。ピースリーにとっても大きな一歩です。
清矢そういえば、前にピラミッドフィルムの組織制度を社員はどう思ってるのかって議題が上がったとき、クアドラは社員にアンケートを取って意見を汲み取ってるというのを前原さんから聞いて、じゃあピラミッドフィルムもやってみようってなりましたよね。
吉田クアドラの前原さんはピラミッドには無い感覚で話題を提供してくれるので、ご意見番みたいな存在(笑)。
前原そうなんですか?(笑)
有田3社協力するのが僕らの中で当たり前になったのは、いいことだよね。
松本僕は入社して5年目で、「ピラ会」のなかではいちばん若手なんですけど、入社したときからグループ会社の心理的距離感があると思っていたんです。
下田わかる、わかる。
松本グループ会社なのに交流がないのはもったいない、どうしたらつながれるんだろうと。だから3社が参加するイベントとか忘年会を、「ピラ会」が企画してくれたのがうれしかったです。あとは、もっと若手の意見や思いを救い上げて、「ピラ会」に持ち込めるようになりたいと、ここ1年で強く思うようになりました。
前原うちの会社はうちの会社という独立した考えではなくて、3社のいい部分をピラミッドフィルムグループに反映したらどうなるのか、この議題を提案することでピラミッドフィルムグループ全体がよくなればいいなと、私も強く思うようになりました。それによってクアドラでも発言しやすくなったし、私たちの声が会社に反映されたら、いい会社になるなと思うし。
松本そうですね。
前原そう言う意味では、この2年くらいで俯瞰して会社のことを考えられるようになったと思います。親会社のピラミッドフィルムの人たちと普通に話せるようになりました。「ピラ会」に入る前は、親会社というイメージが強くて…。今では隔たりのない考え方ができるようになりました(笑)。
下田こうやって会社のことを考えられるのは社員の特権ですしね。協力関係ができたことは僕の財産だと思ってます。
河野この業界って、プレイヤーとして会社で認められたら、マネージャーになるシステムが多いと思うけど、実際には求められる資質も違う部分もある。なので順序は関係なしにどちらも意識して養っていく必要性に、ここで気づかされました。そういった意味では「ピラ会」は、普段のプロデューサーとしての仕事以外で、チームを導く技術だったり、部下や会社の環境のことを考えたりと、マネージャー視点で考えるきっかけになりました。僕自身、客観的に会社のことを考えられるようになったと感じてます。
吉田もっと浅い話になりますけど、「ピラ会」がはじまった当初、私も含めたピラミッドフィルムのメンバーはみんな自分の仕事を優先して定例会の時間通りに来る人があんまりいなくて(笑)。それに対してクアドラとピースリーの方たちが怒っていたんですよ。そこで、「ああ私たちはなんてダメな人間なんだ」ってわかって(笑)。人として、社会人として当たり前なことができていない。社外の方に指摘されたのは大きかったです……。
有田確かに(笑)。最初はすごく人が少なかった。
吉田「ピラ会」全体が成長しました(笑)。
吉田きっかけは、グループ間の交流をしようって話でしたよね。最初はどこか場所を借りようとしたけど、仕事中の人も参加できるように会社で開催しようと決めて。あとは何をするかとか、役割分担を決めて、イベント当日も司会とか受付とかやって。クアドラからは音響とかVJを呼んだりして。
清矢せっかくの機会だから、各社の仕事内容に触れられるような場にしようという目的もありましたよね。
有田ノリが文化祭だよね。
吉田そうそう。Tシャツを作ってもらったりして。
梅岡みんなで揃えてね。あとたこ焼きとかタピオカとかも自分たちで作ったり……。
下田レストランを借りてお金をかけて力業でやるより、結果手作り感があってよかったですね。
清矢あのとき、上の人も巻き込もうって話になって、社長にもバーテンダーをやってもらって。
梅岡社長のバーテンダー姿も似合ってました(笑)。
河野一人一人社員にお酒を作ってたからね。
下田結果、上の人やプロデューサーも来てくれて、多くの社員が楽しんでくれたのはうれしかったな。
松本次に開催したのが、リモート飲み会でしたね。
清矢あのときはコロナでみんなが会えなくて、家で鬱っぽくなっている人がいないかっていう心配があって。じゃあ、リモートでもいいから飲み会をしようと。
河野みんなが何をしているかわからなくて、寂しかったんだよね(笑)。
下田イベントがきっかけで、「ピラ会」の存在が認められるようにもなりましたし。「ピラ会」から社員のことを考えたイベントを企画できたってことが、いいことでした。
有田現場にいる僕たちの目線で、社員のことを気遣うのも「ピラ会」の役目じゃないかなって思っています。
有田グループとして強い会社に成長して、みんなが社員であることを誇れる会社にすることが目標かな。
吉田有田さん、それ最初から言っていましたね。
有田うん。そのためにピラミッドフィルム、クアドラ、ピースリーからそれぞれメンバーが集まっているんだし。グループ会社だという大きな傘がないと僕たちの活動の意義がなくなるので、そこはブレてはいけないと思っています。
下田ですね。グループとして強くなるには、ピラミッドフィルムグループとしてルールを守ったうえで、いいものを作れる会社でいないといけないなと思ってます。
吉田そうですね。
下田今まで以上に、時間とか予算の制約を守って、よりよい環境を作っていく必要があるかなと思います。
松本僕も環境作りは必要だなと思っていて、コロナ禍で、今までのように出社することが厳しくなると、会社で働く理由が薄くなってくると思うんですよね。
下田フリーランスとして働こうと思う人もいるかもね。
有田なので、ピラミッドフィルムグループに所属するメリットを発信するためには、「ピラ会」が現場の声を気軽に取り入れて、アップデートしていくことが大事だなと思っています。社員の支えに、「ピラ会」がなれたらいいなと。
松本ピラミッドフィルムグループの歴史を思い返しつつ、周りのいろいろな意見を上手に取り入れながら、今後のピラミッドフィルムグループがよくなるように、アウトプットしていけたらいいよね。
前原こうやって話を聞いていると、「ピラ会」のメンバーは、会社が好きなんだろうなと思います。それは「ピラ会」に入ったから好きなのか、元から好きなメンバーが選ばれたのかはわからないけど、「ピラ会」が会社を好きになるきっかけになるような気がしているんです。だからどんどん若手も「ピラ会」に参加してもらって、もっと活性化していきたいなって。
河野みんなに会社のことを考える機会を与えて、みんなが同じ目線で考えられると、もっと前に進めそうだよね。「ピラ会」は、仕事に対する姿勢とか考え方を見直せる場所でもあるから。
梅岡一見、高尚なことを考えてるように思えるかもしれないけど、やってるうちに会社のことを考えるようになった人ばかりなので、「ピラ会」のハードルを上げすぎずに、若い子でも上の人でも、どんどん意見を集約できる場所になればいいなと思います。
吉田役員会議とかリーダー会議とかと、「ピラ会」も同じ位置にいるつもりだけど、まだ秘密結社感があるから(笑)。それが無くなるようにがんばりましょう(笑)。
有田これを読んでる社員が興味を持って入ってくれるといいよね。
吉田「ピラ会」に入るメリットとか伝えたいな。
清矢会社のことを否が応でも考えるから、自然と会社のことが好きになる、とかですかね。
前原それは「ピラ会」の大きいメリットです。
河野「ピラ会」に入りたい人はどうしたらいいんだろう。
吉田このなかにいる誰かに連絡してもらえれば全然大丈夫! いつでも募集してます。ぜひ!
株式会社ピラミッドフィルムのビデオ事業部として設立したポストプロダクション。
TV-CMを中心に、PV、映画、WEB、イベント映像などの、企画、演出、撮影、同録、カラーグレーディング、編集、合成、MA、プリント、エンコード、オーサリング等のポストプロダクション業務を行っている。
デジタルを中心としたコミュニケーションを企画から開発までワンストップで対応。
お客様の抱える課題の解決や、新しい価値の創造に挑む。
最新テクノロジーを用いた自社コンテンツも定期的に開発。
蓄積した知見を元に、テクノロジー起点での企画提案も行っている。